「Climat(クリマ)」「lieux-dits(リューディー)」「Cru(クリュ)」
ブルゴーニュのワインの知識が深まってきた時などに多く疑問に思う3つの違いやそれぞれの概念(意味)などについて解説します。
複雑なブルゴーニュの畑を紐解く鍵
フランスのワイン銘醸地であるブルゴーニュは、歴史的な背景から畑が細かく細分化され、所有者が分かれています。
その対照的な存在、単独所有者畑は「Monopole(モノポール)」と呼ばれています。
“monopole” はフランス語で「独占」の意味。英語では“monopoly(モノポリー)”です。
小さい頃によくやったボードゲームを思い出す人も多いのではないでしょうか。
■代表的なMonopole(モノポール)のGrandCru(特級畑)■ ・DRC(ドメーヌ・ド・ラロマネコンティー)所有 « Romanée Conti ロマネ・コンティ » (1.80ha) ・François Lamarche(フランソワ・ラマルシュ)所有 « La Grande Rue ラ・グランド・リュ » (1.65 ha) ・Comte Liger-Belair(コント・リジェベレール)所有 « La Romanée ラ・ロマネ » (0.84 ha) など 参照:https://www.blog-sensation-vin.com/les-monopoles-en-bourgogne/
では、単独ではない畑=複数の所有者に分かれている畑は、
どのような考えを基に細分化がされて、どう呼ばれているのか。
そこで鍵となるのが、
「Climat(クリマ)」「lieux-dits(リューディー)」の概念や区分けです。
Climat(s) “クリマ” とは
Les Climats : une spécificité bourguignonne
Chaque Climat de Bourgogne est une parcelle de vigne soigneusement délimitée et nommée depuis des siècles, qui possède son histoire et bénéficie de conditions géologiques et climatiques particulières.
引用:https://www.vins-bourgogne.fr/nos-vins-nos-terroirs/nos-climats-et-lieux-dits/qu-est-ce-qu-un-climat-et-un-lieu-dit-en-bourgogne/climats-et-lieux-dits-l-expression-ultime-du-terroir-de-bourgogne,2380,9174.html
“クリマ”はブルゴーニュ特有の名称
“クリマ”は何世紀も前に区分けが行われた、
境界が厳密に画定されたワイン畑の区画のこと。
「歴史」「立地的な恩恵」「独特の気性条件」の観点から分けられた、と考えられています。7世紀にはすでに使われて広く認知される概念となっていたそうです。1935年よりI‘NAOもオフィシャルに使用する用語になっています。
Clos de Vougeot や Montrachet などは “Climat(クリマ)”です。
lieux-dits“リューディー”とは
Les lieux-dits, intimement liés aux Climats
Les lieux-dits sont également des parcelles reconnues pour leurs particularités topographiques ou historiques. Ils ne font pas l’objet de délimitation par l’INAO.
引用:https://www.vins-bourgogne.fr/nos-vins-nos-terroirs/nos-climats-et-lieux-dits/qu-est-ce-qu-un-climat-et-un-lieu-dit-en-bourgogne/climats-et-lieux-dits-l-expression-ultime-du-terroir-de-bourgogne,2380,9174.html
“Climat(クリマ)”と切っても切り離せない、
区画名称のひとつ
「地形的、歴史的な特性」に従って区画を分けて呼称する呼び名。
I’NAO によって境界画定がされているわけではないのが特徴です。
アルザスなどの他の地域でも使われている区画名称です。
Pouilly-Fuissé や Clos Reyssié は“lieux-dits(リューディー)”です。
ちなみに、“lieux-dits(リューディー)”は常に複数形。複数の区画を含みます。
Cru(s)“クリュ”とは
フランス語の男性名詞で、
元々は、ワインの銘醸地を意味する言葉
近年は単純に、“ブドウ園”や“ブドウ生産地区”を意味
ボルドーでは「シャトー」、ブルゴーニュでは「クリマ」の概念と近く、使い分けられています。
最後に
なんだかややこしい気がしますが、いかがでしたでしょうか。ブルゴーニュのドメーヌの方々やワイン関係者と話していると、本当に“Climat(クリマ)”の概念が根付いていることを感じます。
近いうちに、もう少し深堀した「micro-climat(ミクロ-クリマ)」の概念についても書けたらいいなと思います。