二日酔いとワイン

「もう二度と飲まない…」これほどまでに辛いことって、最近そんななかったよなぁ。なんて思いながら、自分の自己管理能力の低さに嫌気がさす。。。

分かっちゃいるけど、やめられない。

お酒を飲む人なら少なからず経験があると思われる現象の1つ。

今日はワインの観点からも、少し詳しく掘っていきたいと思います。

そもそも“二日酔い”って、何。

憎き宿敵“二日酔い”。

年を増すごとに強くなってる気がするし、その日の体調によっても違う気もする。まったくならない人も居る?いったい何なの、FUTSUKA-YOI !!!

「二日酔い」とは。

英語で言うと「hangover(ハングオーバー)」

フランスでは、直接的な言葉(単語)は無く、

「二日酔いだわー」のニュアンスで言いたい時は、

「 J’ai la gueule de bois——-. 」などと言っていました。

la gueule(ラ ギュヨール、と読む)は直訳では「頭、口」などを意味しますが、いわゆるスラングで、汚い言葉で使われる事が多く、女の子はあまり使わない方が良い単語です。

ヨーロッパでは「二日酔い」にあたる単語が存在しない国が多く、ここでも生まれながらのお酒の強さの違いを感じますね…

話はそれましたが、日本での「二日酔い」の意味を見てみましょう。

二日酔い、宿酔(ふつかよい)とは、酒などのアルコール飲料(エタノール)を、自身の代謝能力以上に摂取することにより引き起こされる、不快な身体的状態

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%97%A5%E9%85%94%E3%81%84

た、確かに不快だ…。

どうしてなるのか。

疲れているとなりやすい、体が小さいとなりやすい等、ほんとうなのか。

そのメカニズムは。

「二日酔いは、肝臓がアセドアルデヒドを分解しきれないことで起こる」のです。



このアセドアルデヒド、実は超有害物質。これだけ単体で飲んだりしたら死ぬなんて話もあるのです。それをわざわざ私たちはお金を払って、自ら体内で生み出しているんですね…なんとも。。。



体質によるアルコール分解能力

私たち人間は生まれながらにして、アルコール分解酵素を「持っている人」と「持っていない(もしくは少ない)」人がいる、と言われています。

これはパッチなどで、誰もが簡単に検査することができます。

20分ほど腕に貼っておき、シールの右側だけ剥がし、
赤く反応があるほど、アルコール分解酵素を「持っていない(もしくは少ない)」
(写真は剥がした後。まったく反応がない。=「飲める」ということ。

この分解酵素、原則的に「生涯増えることはない」と言われています。

「(お酒を)飲んでるうちに、たくさん飲めるようになった」は、ほんとう?

これは、真っ赤な嘘。先ほども出てきた通り、アルコールの分解酵素は生涯増える事はないのです。

なので、無理強いや一気飲み、やけ酒は、「ダメ、絶対」!

ただ、お酒の種類(酒質)と体質との相性によって、「ワインなら飲める」「日本酒なら飲める」は多少はあるようです。

お酒は愉しむのが一番。自分のペースで適量を。

では、多くの方が経験があると思われる、「飲んでいるうちに、すこしずつ飲める量が増えてきた」というのは、どういうことなのでしょうか。

=体がものすごく頑張り始めた

少しづつお酒が飲めるようになってきた=体がものすっごく頑張り始めた

実はこれは、

先述の「体質によるアルコール分解能力」でも出てきた、

“人が生まれながらに持っているアルコールの分解酵素”の働きを助けるため、

他の物質がその働きを補っているのです。まさに「ワンチーム」な働き!

アルコールと戦うため、あなたの身体の中では、みんなが力を合わせていた!

この助っ人的な働きは MEOS(Microsomal ethanol-oxidizing system)と呼ばれています。

当然、「お酒に強くなった」わけではないので、身体への負担は大変に大きい。こちらの「ワンチーム」は、良い結果は決して生まないのです。

主なリスクとしては、麻酔が効きにくい体質になったり、慢性飲酒者においては大量に摂取するたびに肝障害を来す、と言われています。

飲めるようになった、のではなく、無理して頑張って分解し始めた、のでした。

何事も無理はダメ。程々が一番ということですね。

適量の飲酒は体に良い?

「お酒は適量ならば体に良い」なんて言葉、聞きますよね。テレビでもご長寿の方に「元気の秘訣は?」なんて聞くと、「欠かさない晩酌だね!」なんて場面も。

これはどういうことなのか?

これの元となる考え方は1981年にイギリスで発表された”Jカーブ”というもの。

飲酒量と総死亡率には相関関係があり、「適量飲酒をしている人々」が最も死亡率が低く、次に「飲まない人」、適量を超えて飲酒するほど死亡率が高くなっていく。J型のカーブを描くということ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/J%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%96%E5%8A%B9%E6%9E%9C

でもでも…これ、最近は事情が違うみたいです…。(現実を見たくない人は目を瞑って、スクロール!)

そもそも、この結果を得た実験では、被実験体の健康度や体質・体調などは考慮されていなかったことが明らかになったり、

2018年に相次いで発表された論文では、「お酒は少量でも体に悪い」のだとか!!!

同じく”少量”といっても、内容はいろいろあるので、かいつまんでみると、

摂取量は、限りなくゼロの方が(むしろゼロの方が)体にとっては害が少ないですよ。摂取すると、いろんな病気のリスクが右肩上がりに高まりますよ」とのこと。

(もうここまで来ると、なんでこの場所で、この記事を書いているのか…切なくなってきました…)

Oh my god!! とはまさにこのこと。

じゃあ、私たちが今まで信じてきた(すがってきた、と言っても過言ではない)1981年の論文は何だったの…?嘘だったの・・・?!!!騙したの?!?!?!

と、いうと、そうでもない。

つまりは、 心疾患など一部の病気に関しては適量であれば、減少させる効果がある。でも、高血圧やある種の癌などは飲酒量に伴ってリスクも増える、ということなんだそう。

メリットとデメリットはいつでも隣りあわせ。

様々なお酒を介した交友(時には交遊)や、楽しく有意義な時間を過ごすことはプライスレス。

飲酒のリスクは、いつでもそこに。でも、私たちは大人なのだから、自己判断でいきましょう。

お酒って、大人の特権。いつまでも長く、愉しく、付き合っていきたいものです。

ワインと二日酔い

ワインは二日酔いになりやすいのか。

これはノー。

その偏見はちょっと待った!

ワインは醸造酒なので、胃酸の分泌を促す為、それが過多になると、吐き気や下痢などの症状が起こることがあります。でもこれは、同じ醸造酒ならば全てにいえること。ワインだけではありません

また、ワインに含まれる物質の1つ「メタノール」。これは同じ種類では、テキーラなどにも多く含まれている物質です。実は果実ジュースにもごく微量含まれています「メタノール」は、分解に時間を要します。さらに、アセトアルデヒドに似た「ホルムアルデヒド」に分解されるため、これを多量に摂取すると二日酔いを起こす原因の1つになります

醸造酒であるワインはアルコール度数が高く、11度~15度。一気にたくさん摂取すると、当然血中アルコール濃度は急上昇!利尿による脱水症状が起こりやすく、二日酔いの代表格「頭痛」の原因になります。これも、ワインだけに限らず、注意が必要です。

ナチュラルワインは二日酔いになりにくいのか

ワイン好きの中で少し前まで言われていた神話の様な話が、

「ナチュラルワインは二日酔いにならない」というもの。

何故か。それは、

ナチュラルワインには亜硫酸(SO2)が添加されていない(もしくはごく僅かである)から

防腐や非酸化等の目的でワインに添加される亜硫酸(SO2)を避ければ二日酔いにならない、という意味で言われていたものと考えられます。

亜硫酸(SO2)は、欠陥膨張作用がある為顔が赤くなったり、鼻が詰まったり、頭痛を引き起こすと言われています。

ただ、先ほど先述の通り、アルコールには様々な物質が含まれていて、それはワインも同じこと。「亜硫酸(SO2)が入っていなければ二日酔いにならない」、と言うのは、少し違うのかもしれません

二日酔いにならない為には

二日酔いにならない為に「お酒の種類うんぬん」というよりは、

  • 飲酒中も飲酒後も、お水をたくさん飲むこと
  • 無理はせず、自分のペースで愉しみながら飲む
  • 色々な種類のお酒を一度に、というより、種類は少なめがベター
  • サプリメントの力をたまに借りる(毎度は良くない)
  • 隔日で休肝日を設ける

等の、心構えが大切なようです。


時間やお食事をより楽しくしてくれるお酒。

今回の記事は途中書いていて「これを読んで、お酒(ワイン)飲みたくなくなる人いるんじゃないかな…」と不安になったりしましたが(笑)、

確かにリスクはあるものの、それ以上に、私たちに与えてくれる喜びや経験、出会いは大きなものだと思えます。お酒は大人に許された「魔法」です。

ワインは人が造り、時と共に変化し、共に成長ができ、分かち合う喜びに溢れた素晴らしいもの。上手に、ながく付き合っていきたいものです。

コラムカテゴリの最新記事

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。